不正の事例について
こんにちは。はやぶさひろです。
前回拙著の執筆目的を書き終わりました。
拙著で掲載した不正ストーリはメーカーの営業部門で特別価格を利用したキックバックがメインでした。外部からもらうキックバックは相手がそれをしゃべらなければ証拠がないので、追い詰めるのがやっかいなのです。
それでは他にどのような不正が行われるのかを紹介してみましょう。
財務による横領はよくあります。例えば現金預金を引き出して着服。その場で帳尻あわせをするのならその金額分を棚卸資産や前払費用として計上します。内部に証拠を残すと監査でばれる可能性があります。しかし退職してトンズラされたらどうしようもありません。
荻村も次代コーポ総経理就任時「口座の入出金状態を自分でもオンライン見られるようにしろ」と何度も言いましたが、ずっと無視され続けていました。都合の悪いことは無視します。催促すると「あ、忘れています。すぐします」と言いますが、また忘れます汗 少なからず怪しい案件はあったのかと思います。
また、横領事件は刑事事件ですが、一企業の横領事件程度で中国当局は捜査をしてくれません。
身近な企業で財務責任者による横領事件はよくありました。
国家機関である大手航空会社の財務責任者が1億元位横領した事件の際は、結局「財産没収、死刑の上、***万元の罰金刑」との判決報道がありました。「財産没収され死刑になったらもはや罰金は払えないのではないか?」と妙に気になった記憶があります。
荻村が経験した不正の例に戻しましょう。拙著には登場しない話です。
京信深センへ着任したとき、カタログのストックが少ないことが気になりました。代理店と会うと「カタログをくれないのでコピーして顧客へ販売促進している」と怒っている人もいました。荻村は京信日本時代営業員もしていましたし、企画部門でカタログ制作に係わったこともあります。メーカーの営業にとってカタログが重要であることは誰よりも分かっています。
「何故カタログを用意しないんだ?」との質問に「実は荻村さんの執務室は元々カタログ部屋だったんですが、荻村さんが来たので置く場所がなくなったのです」と営業責任者がケロリと言うのです。常に「自分の責任ではない」ということを漂わせる思考が染みついているのです。「そういう問題じゃない!」と自分の経験から必要と思われるカタログを注文することにしました。京信は日本でもカタログ制作費は製品事業部、印刷費は営業部門が支払うルールで中国販社もそれを模倣していました。
「中国だからさぞかし安いのだろうな?」と新しい発見に少しうきうきして待っていると、上海のカタログ担当から来た見積もりは日本円で100万円以上でした。「この量で100万円!日本より高いじゃないか!」と思いましたが、「品質を優先しており少し高いです」とのこと、まずは営業優先で発注をかけました。
後の調査により、このカタログ担当者の親戚縁者が印刷会社を経営して、合理的な競合(コンペ)もなく優先発注していたことが発覚しました。
更に中国販社のITサーバーはどこにあるのか?との質問をすると誰も知りませんでした。これは調査の結果、IT責任者の自宅にサーバーがありました。自身がサーバー会社を設立し、そこに委託していた、ということです。
言うまでもありませんが、上記のカタログ印刷とITサーバーの例は「利益相反」です。これは中国でも不当とされています。
次代コーポに移籍した後も実は数々の不審な点があります。
毎年年末に作っているカレンダーです。これも高い、日本並みと感じましたが不正の証拠がないので、荻村は「資源の無駄、環境破壊なので今年からカレンダーは止める」と宣言し二年間作りませんでした。当時販促物関連は営業企画部門で一手に受けておりました。しかし営業から「顧客へ挨拶するのにメンツがないので復活して欲しい」との声が上がり、人事総務部門に見積もりさせました。既に紹介した「江薇」という女性社員です。なんと従来の三分の一の見積もり額でした。
このように外注を使う場合(外部への支払いが発生する場合)、全てにおいて疑いを持つ必要があります。
カタログやカレンダーという印刷物に加え、駐在者の飛行機やホテル予約、web制作やeマーケティング、展示会出展、統計データーの購入……全てです。
荻村は飛行機やホテルなど自分のことは自分で予約・支払い・精算しておりました。
工場でどこでも行われるのが社員食堂での不正です。1千人いる工場で窓口総務が食堂を委託している業者に一食当たり0.1元のキャッシュバックを要求したとしましょう。
1千人×3食/日×30日/月×0.1元=9千元≒18万円(現レート)が毎月懐に入ってくることになります。
それを疑った工場の日本人総経理等が捜査を開始すると妨害行為に及びます。標準的な妨害は荻村も何度もやられた不正社員から本社社長への手紙(メール)です。「尊敬する本社社長や指導者の皆様 私は中国○○工場の××です。**年に入社し一生懸命働いてきた。しかし△△総経理の不正行為は社員のやる気を奪い会社をダメにすると確信し、愛する会社のために勇気を持ってご報告する次第です。総経理はかねてより……」 こんな感じです。匿名の場合も多くあります。
このような密告を受け取ってしまった場合、取り敢えず調査をしないといけません。それもまた真の不正社員への捜査を遅らせることになり、証拠隠滅の時間を与えることになります。また総経理も脇の甘い部分があり、たたかれたらホコリが出る場合も多くあります。例えば「個人的な遊びなのに接待費をよく使っている」「不正社員等から高額な金品を受け取っていた」「空出張をしていた」「愛人の購入した小さいマンションに住み、規定額上限の高額な家賃を会社に支払わせていた」…… 結局、真の不正社員を追い込む前に自身が処分を受け帰国、という寂しい結果になることも結構あるのです。
また、外注先との癒着を怪しんで部門異動を命じた場合、利権を奪われることで激高するケースもあります。私の知る総経理と弁護士は引きずり回された上、倒され軟禁までされたこともあります。拙著に書きましたように日本のように部門異動は簡単にできません。「重要な人事調整は合理的な理由が必要」とされており、「怪しい」だけでは本人の了承がなければ難しいと判断できます。
まとめますと、外部に金が出る場合、全て利権が絡んでいると思ってください。
1)支払先が社員かその親戚縁者が所有している会社である場合
⇒競合がないので(排他的)劣悪なものを高く購入しています。私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律の趣旨に反します。
2)外注先からキックバックをもらっている場合
⇒高く購入しています。
遠慮というものはありません。ただし抜かれるのは駐在員や本社サイドからの監視・牽制が甘い、という問題もあります。仕組みが穴だらけなのかもしれません。
難しい話題が続きました。次回からしばらく面白おかしいエピソードを紹介したいと思います。「拙著がバラエティーになってしまう!」ということで割愛した笑い話も含みます。
コメント
コメントを投稿