five forces 競争戦略など

  前回のタクシー事故の3番目に天津で代理店候補への訪問したことを書きました。「この商社が何故次代コーポの代理店になりたいか?」そして「ボリューム・ディスカウント制度とはどんなことか?」ということをマーケティング戦略の問題として解説いたします。

 経営上の難しいお話なので、ご興味ない方は飛ばしてください。


 まず。次代コーポの代理店になりたい理由です。

 この商社は京信のニ次店なので製品の供給力に不安を持っています。マイケル・ポーターの競争戦略にfive force(五つの力)という論があります。競争戦略を考えるとき5つの脅威に分類されるます。

 既存の競合他社のことだけ考えていればよいのではない、ということです。

 詳細は下記リクナビnextジャーナルの記事URLをご参照ください。

https://next.rikunabi.com/journal/20161101_s10/

 例えば「代替品の力」とは40年ほど前でしょうか?音楽媒体としてCDが開発されたらレコードが衰退し大手レコード針メーカーがあっという間に倒産しました。またiphoneの出現により日本製の携帯電話は一気に斜陽となりました。

 特に技術系のメーカーは技術のイノベーションに細心の注意と努力を払わなければなりません。

 さて、天津の商社の話に戻ります。上のURLでいう「売り手の力」に潜在的な脅威を感じているのです。

 普段は味方であるサプライヤー(この商社から見たらメーカーの京信や中間代理店)が脅威になることもあり得ます。景気が立ち上がったり材料不足が懸念される局面、つまりブツが不足気味の時、小規模ニ次店への提供より大口顧客や高く買ってくれる顧客を優先することは十分考えられます。中国では理不尽は日常茶万事です。

 京信と同じような製品を持つ次代コーポの代理店になっておけばその脅威が少し薄れるのではないか?との考えであり、これは競争戦略上、重要な代替案の選択と言えます。


 次に「ボリューム・ディスカウント制度」についてです。

 簡単にいうと「代理店がたくさん注文してくれたら安くする」というやり方です。

 販社統廃合を荻村に提案してきた本社海外子会社管理担当で公認会計士資格を持つ西村が、単純な発想(業界としては素人)でこう提案してきたのです。

 「特別価格が多すぎて処理が膨大になっていませんか?ボリューム価格を導入されたらいかがですか?」

 この業界でずっとやってきた荻村はまずは反対します。

 「理屈は分かる。しかしたくさんの問題がある。まずは資金力のある大手代理店の一人勝ちになる危険性が高い。資金力のない小規模代理店の顧客も荒らされ、彼らはやる気をなくしてしまう。安いから一時的に大手代理店から購入し、その後のサービスが悪いと分かっても小規模代理店はもうやる気をなくしている。結果、マスマーケットの顧客を失っていくことになる」と長年の経験から得た三段論法を展開します。

 と言いながら荻村も考えます。

 (現状の特別価格制度は個別顧客向けなので有効登録件数が年間20万件もある。営業員はその申請だけで仕事をした気になっている。年度末には一旦全部抹消するので再発行時には朝から晩までこの事務手続きだ。代理店側も大変だ。全てを認可しているモーリスは毎晩夜中まで決裁作業をし、自分自身も朝一番でPCを開くと意見具申対応しなければならないものが100件位入っていて朝からヘトヘトだ……)
 (市場を混乱させることなくボリューム・ディスカウント制度を導入できたら業務効率の大改善になる。一丁真剣に考えてみるか?)

 ということで、西村やモーリスと頭を付き合わせて絶妙なボリューム・ディスカウント・テーブルを作成、売上げ数量の多い5製品群から導入を始めたわけです。

 解雇した後、ローカルの競合メーカーに行った徐にこの情報が流れてしまいましたが、運営は実にうまく行きました。毎月データーを取っておりますが売上げは右肩上がり傾向です。

 その理由は顧客別特別価格の場合、決裁に時間がかかるからだと考えられます。その間に顧客は競合他社製品を選択するかもしれません。ボリューム・ディスカウントは一定以上の数量なら自動的にその価格で発注できリアルタイムで顧客に返事ができます。

 ま、反応スピードです。荻村が日本で営業しているときから最も重要視していたことでもあります。

 荻村はリスク面ばかり心配していましたが、それも先入観でしょう。業界では素人である西村の単純な発想をきっかけに大改良することができました。素直に聞き入れる耳を持つことも大切です。

 営業戦略上の難しい話で失礼しました。ビジネスマンの方のご参考になれば幸いです。

またお会いしましょう。再見!


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