6月のPL(損益計算書)を見て愕然!

  海外子会社経営を任された場合、財務の見識は必要です。

 専門家に任せっきりになる人も多いのですが、言語でのコミュニケーションの難しさ、税務や会計処理法など制度や法的な違い、社員による不正、などもありますので自ら関与することがよいと思います。

 拙著第一章「贼喊捉贼~債務超過」に下記のような内容(青字部分)を書きました。この程度のことは駐在員だけでなく本社人事や海外関係者も知っておきましょう。現地で任期を待っているようなぶら下がり社員を派遣することは愚の骨頂と分かるでしょう。

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駐在員一人送り込んだら現地でいくらの費用が発生するか?多くの経営者や人事担当者も分かっていない。

仮に一般的な上場企業の課長クラスとして日本給与と中国現地給の税引き後振込額が月平均賞与分含み日本60万円、現地40万円の合計100万円としよう。中国法人サイドにいかほどの人件費が発生するか?

中国と日本は租税条約を締結しているため合算所得で中国に所得税を納税しなければならない。中国も所得税は累進課税であり、手取り月100万円であれば税率は最高額の45%になるはずだ。若干の控除額は無視すると計算式は

年間所得=100万円×12ヶ月÷(1-0.45)=約2,200万円

年間所得税=2,200万円×0.45=約990万円

現地法人サイドの人件費年間負担額=40万円×12ヶ月+990万円=約1,500万円

という膨大な金額になる。

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 主人公荻村は2002年に赴任し2003年4月に法人設立したものの深圳の税関でブツが3ヶ月ストップし債務超過の憂き目に遭うのです。その真っ最中に日本人営業社員が派遣されてきた、という記述を上記青色の文面で説明しました。

 ところが営業社員の派遣だけでなく、その6月恐ろしい現実に気づきます。

 6月度単月P/L(損益計算書)は前月に増して大赤字になっています汗 出納係から財務担当にした張を呼び大声で問いただします。

 「何故だーっ!何故こんなに経費が多いんだ!?」

 「荻村さんのボーナスです」 張は嫌みったらしい表情で即答します。

 (えっ?ボーナスは全額日本で支払われるのに……)

 どういうことでしょうか?

 上記の青色の記述を再度確認しましょう。

 荻村の給与が見合い税引き後(振込額)、日本で60万円、中国で40万円としましょう。

 税率は累進課税最高率の45%となります。

 所得税額は、100万円÷0.55×0.45=約82万円/月 です。

 これにボーナス分も上乗せされました。日本での見合い所得税控除後が仮に200万円としましょう。

 ボーナス分の所得税額 200万円÷0.55×0.45=164万円

 6月の荻村の所得税額 82万円+164万円=246万円

 6月荻村にかかった深圳の人件費 中国での月給40万円+合算所得税246万円=286万円

 大卒新入社員の給与が1人7-8万円の時代だったので、それはもう大きな金額です。

 現在は年間所得見込みに応じて毎月平準化して徴収していると思いますが、確かに当時は毎月の実績で計算していました。

 日本人1人にこれだけ金がかかって、自分たちは10万円くらいの給与なので、それは働きがいがない、というものでしょうか?汗 日本人駐在者の費用を捻出するために働いているような感じになりませんか?

 海外へ日本人を余分に送り込む、という決定をする際には上記の式に従って海外法人のP/L(損益計算)をしっかりシミュレーションしましょう。一人送り込んだために収益が悪化しローカルの給与やボーナスが伸びなかったらやる気をなくすというものです。

 日本で行き場がないから海外で面倒見てくれ、は絶対に止めましょう!迷惑千万です。

 しかし京信中国販社の部長さんクラスの給与は既に5万元/月ほどまで上がっています。現レートで換算すると100万円/月以上です。ボーナスと春節の紅包を入れると1,600万円なので日本の部長さんより多いかもしれません汗 

 直近の調査で日本人の年収中央値はたったの399万円なのです。

 企業間競争でいうなら大手トップシェアの会社が弱小零細に大逆転されたようなもので、そのトップは戦略的大失敗した無能経営者としての烙印を押され更迭となるでしょう。

 経済の場合、誰が責任を負うのでしょうか?

では、次回お会いしましょう。再見!

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