税関で連行された出張者

  「俺のミッション 中国ビジネス三都物語」の裏話を公開しております。書き切れなかった細かいことの他、中国特有の状況も思い出しながら掲載しております。

 以前「交渉下手な日本人と偽物市場でのお話」の中で、日本にロレックスのコピー品を持ち込もうとして結局没収された事件を紹介しました。

https://hayabusahiro.blogspot.com/2022/08/blog-post_24.html


 今回はその逆で中国へ持ち込む際の税関対応に関することを記載します。


 京信素材は現場サービス会社を子会社として有しています。KS社としておきます。

 日本で作られた設備が深圳の日系工場で稼働していましたが、内蔵された京信の製品がロット不良だったことが判明し消費財で言うとリコール対象となりました。設備を日本まで送り返して、ということは現実的でなく、サービス会社KS社の社員がハンドキャリーで持ってきて、顧客の現場で交換する、ということになったそうです。

 ある夕方、深圳での飲み友達と会食する約束があり、そろそろ会社を出なければ、というときに荻村の携帯が鳴ります。KS社を管轄する日本の社員からでした。

 「あ、荻村さん、定時後にすみません。KS社の社員が深圳に出張したのですが、空港の税関に拘束されたようです汗!救出しに行ってもらえませんか汗?何とか助けてください汗!」

という内容でした。

 荻村は友人にお詫びの電話を入れ即刻空港へ向かいます。

 空港税関には拘束され疲れ果てた表情のKS社社員がおりました。荻村は税関に聞きます。

 「この製品を申告せずに入国しようとした。走私容疑で身柄確保した」と言います。

 「走私」とは密輸です。荻村は深圳販社が立ち上がってすぐ、やはり「走私容疑だ」と密輸管理局が会社に入ってきたことがありましたが、それは別途記述します。

 KS社社員が持ち込んだのは販売価格3万円もしないタッチパネルのついた安価な操作機器です。通常こんなものはスルーだと思うのですが、ノルマがあるのか?パフォーマンスなのか?時々あげられるのです。

 ちなみにプレゼンテーション用として会社から与えられたipadを没収された出張者もいました。これは税関の家にあるか?転売されてしまったのではないか?とも思われます汗

 KS社社員に関しては必要な手続きをして釈放されました。念のためにと輸入用のインボイスを持ってきていたために助かりました。翌日荻村の深圳販社で輸入代行手続きをし正規の輸入品とすれば持ち込めることになったのです。朝早くから再度空港へ行き、手続きが終わったのは昼過ぎ、その後、KS社社員を一日遅れで交換を待つ顧客へ送り届けました。

 結局、日本側の無知により荻村は昨晩の夜の予定、本日の半分も時間を無駄にすることになったのです。


 海外駐在員が日本本社へ出張した際、よくハンドキャリーを依頼されます。輸送量が高いとか正規には通関できない、とかの理由です。ハンドキャリーで中国へ持ち込めるのは「身の回り品とお土産だけ」と定められております。出張者は断り切れずOKしますが、これもまた無知というものです。上記の事例のように税関で密輸容疑で拘束されるリスクがあることを知ってください。

 生産財の製品は一般の人が見たことのない怪しい形をしていますので、テロにでも使われるのではないかと想像もさせますし、ましては「正規には通関できない」ものをハンドキャリーで持ち込んだら明らかに密輸入です。常識すら分かっていない怒

 コンプライアンスを高らかに掲げる日系上場企業が法を犯す依頼をし許諾している、ということになります。荻村は次代コーポ入社後も日本出張時しばしば依頼されましたが、全て断った上でしっかり説明していました。間違っていることにはNoという勇気を持ちましょう。

 「全ての過ちは究極的には無知に由来する」ソクラテスの言葉を思い出しましょう。

 海外出向者に赴任前研修をする企業が多いと思いますが、こういうことをしっかり教育すべきです。

 ご依頼いただければ2時間位の講演をお引き受けいたします笑

 ではまたお会いしましょう。

再見!



 

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