銀行キャッシュカードの逸話 そのⅢ
前々回、上海中山公園駅のATMでカードを抜き忘れ何者かに3千元下ろされたあげくカードもなくなってしまったお話を伝えました。やむを得ずカードを再発行してもらった手続きの詳細も書きました。
ところが新しいカードになってから不都合が生じるようになりました。
日本を含み諸外国の銀行ATMでUnionPay(銀聯)と連携しており、年10万元以内なら引き出せるはずなのに、再発行されたカードになってから日本でも台湾でもフィリピンでも下ろせなくなりました。中国銀行のカードだと下ろせます。
荻村はカードをまじまじと見つめます。
「あっ!工商銀行の裏面に磁気テープがない!」ことに気づきました。4枚目の写真は中国銀行カードの裏面ですが上サイドに太い磁気テープがあります。日本の銀行カードもこうなっていると思います。
色々調べますと銀行カードのICチップの規格は世界標準のものがありますが、中国だけ独自のコードを採用しているようで、外国のATMでは読み取れないそうです。工商銀行カードの真ん中左に光っているのがICチップです。ただしICチップだけでも買い物は可能です。
荻村はさっそく再発行してもらった店舗へ行きました。
「磁帯(磁気テープ)付きのものに交換してくれ」
「当行では○年前から全部これに統一された。磁気テープ付きはもうない」
「磁気テープ式じゃないと外国で金が下ろせないんだ」
「あ、そうなの。我不知道(知らなんだ)。没办法(どうしようもない)」
予想通りの反応でした。
駐在員の皆さん、もし一行しか銀行口座を開設できないなら工商銀行は止めておいた方がよいかもしれません。現時点では外国で現金を引き出せません。
新しい駐在員が来て居留許可が下りると、財務系の社員が一緒に銀行に行って口座を作ってくれます。どの銀行にするのか?あまり脈略がなく森下董事長は招商銀行でしたし、荻村の後任水谷は浦発銀行という外国人にはメジャーではない銀行でした。これは財務の人間に○○元/口座1件とか何かのインセンティブが入るので注意しましょう。
荻村も京信素材深センに初赴任した時(この頃はパスポートさえあれば口座開設できました)、出納係兼通訳の張につれられビル1階の中国銀行で給与振込用の口座を作りました。ところが会社設立しビルを移転したら「荻村さん、パスポート持って一緒に来てください」と言います。ついていくと歩いて10分くらいのところにある招商銀行でした。「荻村さんの銀行口座を作りますねー」と言います。
「中国銀行にもう持っているじゃないか?事務所に近い店舗に移すなら会社の隣に中国銀行があるじゃないか?」と単純な疑問をぶつけます。
「私、日本語、あまりうまくない。よく分からない」と急によそよそしく聞き取れないふりをします汗
結局、招商銀行にも口座を作ることになるのですが、張のポケットに幾ばくか入っていたのでしょう。
中国銀行に関する逸話はキャプチャーの後に記します。
中国工商銀行キャッシュカード表面↓
中国工商銀行キャッシュカード裏面↓
中国銀行のキャッシュカード表面↓
2021年3月末で荻村は次代コーポ上海販社の総経理を辞任し帰国するのですが、引継ぎや送別会などで超多忙な中でも引っ越し作業やその他「立つ鳥跡を濁さず」というようにやることが尽きません。
以前語ったように個人間で送金することのは事実上できません。銀行口座にはそれなりの人民元が貯金されています。
合法的に中国から持ち出せる現金は5千USドル以内と定められています。その時のレートで約50万円です。荻村は50万円だけUSDか日本円に両替して持ち帰り、後は口座に残しておき銀聯で引きだそう、と決めます。ただ、法的には中国に住民登録のない人は銀行口座を持てないことになっていますので自己責任です。
50万円というと約3万元でした。荻村は帰任1ヶ月程前に上海の中国銀行で3万元引き出し、レートのよい両替屋で日本円にしてもらおうとしました。この両替屋は日本人向けクリニックの入ったビル向かいのローソンの前にいつもいます汗
ところがです。中国銀行ATMで引き出そうとすると、「磁気が弱くなっているので新しいIC付きのカードに早めに交換してください」というようなメッセージが出てきます。このカードは前回の投稿で書きました「出張中の上海で使えなくり深センへ戻り再発行したもの」です。それから10年以上経っていますね。お金は引き出せたのですが、(日本に戻ってから使えないと困るな)と帰国前に再発行してもらうことにします。
中国銀行の場合、再発行は口座を作った店舗と決められたようです。つまり深センです。荻村は3月中旬に広州のアパートを引き上げ、後任への引継ぎのため上海のホテルで2週間過ごすことにしています。再発行に2週間かかることを知っている荻村はすぐ深センへ向かいます。深センには係争案件の顧問弁護士や荻村が信用する旧深セン販社副総経理の唐がおり、週に1回行っておりました。
一発で手続き完了すれば最後の2週間で深セン・広州の出張を入れていたので、その際に無事、新カードを受け取ることができると打算しておりました。
ところが銀行窓口で嫌な予感が当たります。荻村は次代コーポ上海に着任し深センへ出張したついでに中国銀行に立ち寄りパスポートや電話番号の変更手続きをしていたのですが、2018年前半に再度パスポートを更新しておりました。
「パスポート番号が違います。古いパスポート、新しいこのパスポート、及び同一人物証明証を持ってまた来てください」
(しまったーーーっ!俺としたことが!)
魑魅魍魎共との戦いの中で思考が回らなくなっていました。
同一人物証明証ですが、パスポートが切り替わった際、確かに名前、生年月日は一致しますし顔写真も似ています(10年経つのでかなり老けますが)。しかし偶然名前や生年月日が一緒、ということはないと言えません。そこで日本国大使館や領事館で同一人物であるという証明を発行してもらい持って行かなければなりません。銀行は必須です。
荻村は広州へ戻るやいなや広州日本国領事館でこの書類を入手、次の深セン出張時再度手続きに行きます。(ここで失敗したらもう間に合わない)とヒヤヒヤでした。
「2週間以内に出来上がりのSMSを通知するので、その後取りに来てくれ」とのことでした。最後の深セン出張前日にそのメッセージが届き新規カード(キャプチャー下2つ)を受け取ることができました。
以上の手続きを全て中国社員に同行してもらうのはリソースのロスとなるので、荻村は自分でやるように心がけておりました。最初の頃はしかたありませんが、何でもかんでも中国社員に付いてきてもらうのはどうかと思います。
京信時代に工場のあるヘンな日本人管理者(独身)がおりまして、彼は中国での給与(当時USドル)には手を付けず、日本への一時帰国時日本の給与を持ち込んで人民元に両替して使っていたそうです。帰任時、中国人社員に付いてきてもらい5年分の現地給全額を日本へ送金手続きしたそうです(その当時は給与範囲内なら比較的に簡単に送金できました)。
荻村の給与から試算すると5年分の現地給ならざっと2千万円はあるでしょう。同行した中国社員は腰を抜かして驚いていたそうです。
自分で対処できないならこういうことは慎みましょう。
では、またお会いしましょう。再見!




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