狡猾と言われる上海人Ⅰ

  次代コーポ上海の顧問弁護士が「徐ほど狡猾(こうかつ)な人間を見たことがない」と漏らしたことは書きましたが、中国の中でも「上海人は狡猾だ」と一般的に言われています。もちろん全員がそういう訳ではありません。

 狡猾事例を挙げてみましょう。

 京信深圳で荻村の最初の通訳を買って出てくれた出納担当張は、その後財務の担当者になりマネージャーまで昇進します。ところがいつも「上海的女人有问题(上海の女性には問題がある)」とぼやいていました。上海ヘッドクオータの財務部長(女性)のことを指していると思います。

 荻村が帰任後、張は財務マネージャーから物流部門のヒラ社員に降格になり、激怒した張は会社を欠勤しそのまま退社したそうです。

 この衝撃的な人事異動には上海財務部長の心情が絡んでいることに間違いはないでしょう。

 また同じく荻村が帰任し後任として上海販社の部長が深圳販社総経理についたことは拙著に書きました。名前をSBとしましょう。その時、さまざまな事件が起こりました。

 まず、荻村になついていた深圳販社マネージャーQHは新総経理着任前に躁鬱病を発症しました。ある夜、飲みながら機関銃のようにしゃべっていると思っていたら、数日後上海へ出張した際、自殺を図ろうとしました。財布や身分証明証を上海オフィス(22階)から放り投げ、自らも飛び降りようとしたそうです。数人がかりで取り押さえ飛行機に乗せ深圳まで連れ帰ったそうですが、飛行機の中で暴れるのをずっと抑え込んだそうです。このようなパニック状態のときは飛行機に乗せるのはNGでしょう。すぐに地元の精神科医で安定剤などの投薬をするべきだったと思います。

 深圳での医師の診断書をもらい荻村はQHの自宅へ出向きこう言いました。

 「中国の法律では半年間の病気休暇が有給で認められている。京信はコンプライアンスを最重要視するので安心しろ。その間十分休んで治療しなさい。そして元気になってまた京信で働いてくれ」

 彼と奥さんは涙を流して喜びました。ローカル企業ではこういうわけにはいきません。

 QHが病んだのは「公平・公正な対応だった荻村が去り、上海人が自分のボスになり、どのような理不尽な仕打ちを受けるか?」の恐怖心でしょう。

 確かに営業担当者の4名もがその時点で辞表を提出し欧州系の競合メーカへこぞって転職しました。

 張、QH、営業4名の心理背景は次の成語で表すことができます。

 「一朝天子一朝臣」

 直訳すると「皇帝が変われば大臣もみな変わる」で「新しい長が来たら、部下も全部新しくなる」と現代的に言うことができるでしょう。 ま、日本でも総理大臣が変われば内閣が一新されることもあります。

 しかし中国の長は自分にとって都合のよい部下を置きます。都合のよくないものはそれなりの理屈をつけて排除します。都合のよくないものとは、SBと一蓮托生の仲になれないもの、ということです。理不尽なことがまかり通ります。

 拙著で出てきて「WINDOWSとMS-OFFICEが5元なんです」と言ってきた技術社員は実は香港人だったのです。名前をイングリッシュネームでRayとしましょう。荻村はRayの技術力や遂行能力の高さを見込んで技術部門のマネージャーに昇格させていました。ところが荻村が帰任するや否やRayをヒラ社員に降格させたのです。

 目的は何でしょうか?

 97年に香港が中国に返還され少しずつ立場が変わってきていました。しかし2000年代後半ではまだ品位的には香港人の国際評価が高かったと思われます。後任総経理のSBは自身の権力を誇示するために香港人を引きずり降ろしたのだと思います。

 「香港人より俺の方が上だ!そして俺に逆らったらこうなるぞ」ということも暗に見せたかったはずです。

 Rayはもちろん辞めました。2008年には労働契約法が公布されていましたが、まだ機能していなかったのか?中国人ボスには逆らえないのか?どちらかでしょう。日本人がこのような強引な人事を現在実行したら、即刻労働仲裁に駆け込まれ不当労働の扱いを受けるでしょう。

 さて、日本上場企業においてマネージャーからヒラへの降格人事を販社総経理の一存で、できるはずはありません。

 後任SBはこのような策を取りました。

 深圳販社は元々京信香港の連絡事務所だったので、人事もITも香港人が管理していたわけです。社員は全員イングリッシュネームで呼び合っており、組織表も社内メールアドレスも全てイングリッシュネームだったのです。

 荻村の後任SBは新組織表を敢えて実名(つまり漢字)で書くのです。その決裁は上海本部人事統括部長QY→企画室長→中国販社トップ(総裁)となっていました。人事統括部長QYはSBと同じ上海人で女性(共産党員)、企画室長と販社トップは日本人です。人事統括部長がSBと結託すれば問題指摘はいたしません。日本人トップは漢字の本名で書かれても誰だか判断できません。「メクラ版」でSBの謀略は完成です。

 全て思いのままです。

 

 人事統括部長QYを取り巻く狡猾事件も次回ご紹介します。

再見!


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