緊急医療サービスの重要性 続き

  荻村は「65歳まで働きません、優秀な生え抜きを選定して送り込んでください」と言っており、後任として水谷という人材が2019年春やってきました。

 彼は奥さん及びまだ小さいお子さん二人を帯同して赴任してくる、ということになりまして、「これは必ず緊急医療サービスの会員にならなければ!」と荻村は自分のミッションといたします。

 何故か?荻村はそういう経験をしているからです。

 荻村は京信を退職したとき競業避止義務を締結させられたので、三年間ほど競合ではない企業で中国事業顧問として働いていました。中国に頻繁に出張していましたが、京信でも懇意にしていた後輩夫妻が上海に駐在しており会食することも多くありました。

 その晩も後輩夫妻、5歳になるその息子、京信の他の駐在員と中華料理を楽しみました。後輩夫妻とやんちゃな息子は先に帰りましたが、荻村と単身赴任である他駐在員は二次会のバーでワインを飲んでおりました。昔の仲間と飲むと楽しいので皆かなりベロベロに酔っ払った感じです。

 その時、荻村の携帯が鳴ります。先に帰った後輩の奥さんです。

 「どうした?何かあったのか?」

 「歩道を歩いていたら、息子が自転車道に飛び出して自転車にはね飛ばされました!息子は頭を打ってギャーギャー泣いています。どうしたらよいでしょうか?泣泣」

 焦っている様子がヒシヒシと伝わってきます。

 (どうするか?と言われてももう家の近くにいるのだろうし、どうしようもできないよ……)

 荻村も焦ります。そこで思い出しました。

 「! 京信はWellbeという緊急医療サービスに入っている。旦那の名刺入れか財布に会員証はないか?その番号にすぐに電話しろ!24時間サービスのはずだ!」

 と声を上げ指示します。彼女は「分かりました!」と電話を切ります。

 心配していましたが、夜中にショートメッセージが入ってきました。

 「Wellbeが来てくれて病院に連れて行ってくれました。念のために脳のMRIも撮りましたが問題ありませんでした」

 今現在は現場へ駆けつけるサービスを原則中止しているようなことは聞きました。

 荻村は水谷が赴任するとすぐに彼に状況を説明します。

 「お嬢さんや息子さんが万一事故にあったり、急病になったらどうする?救急車を呼べるか?対応できるか?子どもが苦しんでいるのに何も対応できないなどあってはならないだろう」

 「全くその通りだと思います」

 幸いなことに帯同家族は自身が赴任して半年後以降、と規則で決められています。半年の間に本社を説得してやるぞ、と荻村は不正対応と同じくらいの使命感を抱きました。

 (社員の命や安全の確保が第一じゃないのか?考えるまでもない)

 いつものように荻村は会社の公式のルールと実際のルールのギャップに辟易とします。

 諦めなければチャンスはやってくる、ということを荻村は経験の中で学んでいました。中国での不正や制度の不備が明るみにでましたので、工場も含め人事制度を総点検する、という社長指示で人事部長が2-3年中国に駐在することになりました。

 (どうせ役にたたねーよ)

 と荻村は確信していますが、社長命令を覆せるはずがなく、この人事異動を大いに利用することにしました。人事部長は10歳以上若い奥様を帯同させるとのことです。この人は荻村が犬に噛まれたときに緊急医療サービスへの加入を打診したのですが、けんもほろろに却下した人でもあります。人事部長の名前をKとしましょう。

 「Kさん、私は中国で狭心症の発作が起きたり、ケータリングのバイクに引き込まれて大横転したり、犬に噛まれたりし自力で病院に行きました。下手をすれば死んでます。Kさんも狭心症でステント挿入されていると聞きました。奥様がもし車にはねられたり、急病で動けなくなったらどうしますか?ここでは誰も助けてくれませんよ」

 「え、119番ですか?」

 「それでは消防車が来てしまいますよ汗」

 「え、救急車は別なのですか?」

 「救急車は120番ですが、状況を説明できますか?どこだか言えますか?」

 「……」

 「仮に何かしゃべっても『听不懂(お前の言ってることは分かんねんだよ)』と言われて切られますよ。奥様が苦しんでいるのに何もできないという悲壮な状況になりますよ」

 「どうしたらいいんでしょうか?」

 「緊急医療サービスに加入するんです。仮に発作が起きても電話一本かければ救急車を回してくれます」

 「それは入らなければいかんですな!すぐに手続きしましょー!」

 (俺が犬に噛まれたとき、けんもほろろだったじゃねーか!)とは言わず手続きを進めることになりました。

 荻村が帰国した後ですが、水谷の息子さんが何か急病で苦しみ、このサービスのお陰で助かった、との連絡がありました。男の子はやんちゃだし結構病気もするので備えあれば憂いなし、ということになりますね。

 ちなみにその当時の加入料ですが、家族帯同の場合、初年度の入会金込みで年4千元くらいと思いました。

 その程度の金をけちるのはやめましょう。社員の命や安全の確保が第一です!


 医療関係の話が続きました。次回もう一つお届けしましょう。頻繁に胃腸炎にかかったお話です。

 再見!

 



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