矛盾だらけの組織制度Ⅰ~コールセンタの受信件数

 荻村の営業方針「+α」などについて前回語りました。
 その続きを書く前に常に荻村が感じていた組織の矛盾についてお話ししたいと思います。既に掲載した「独禁法」の件もその一部ですが、他にもあまりに多すぎる中から数例ご紹介することにします汗

 主人公荻村は京信深圳赴任時の後半、深圳工場内に大規模な技術サービスセンターを設立することになり、顧客の気持ちが分かるだろうということで兼務することになりました。
 その中に俗にいうコンタクトセンター(コールセンターとかお客様相談センターとも呼ばれます)も設立しました。当初30人くらいからスタートしたでしょうか?中国では理系大卒をコールセンターで採用できるので、技術的に見れば日本より質の高い部門になるとの確信がありました。
 更にいうと中国では人材の流動率が非常に高いので、経験者を採用するコンペチターが多いのですが、筆者は新卒を中心に採用して育てる決心をしていました。

 プロモーションも奏功してコール件数は順調に伸びていきました。
 日本本部からは次のような件数を著者の目標指標に設定してきます。
 「2年目のコール受付件数10万件、3年目15万件」

 本部の広報から見ると記者発表なので堂々と宣伝できるのかもしれませんね。
 「こんなに頼りにされています!それにお応えしています!」と。

 しかし考えてみてください。
 受信数を増やせばよいということなのでしょうか?
 顧客が何故、コンタクトセンターに電話をしてくるのか?といいますと、ズバリ
 「解らない」からです。

 「製品の選定方法が解らない」
 「思い通り動作しないが原因が解らない」
 「こういう使い方をしたいが可能であるか?解らない」
 「不具合がでたがどうしたらよいか解らない」

 つまりは全てのコンタクトの背景は「顧客不満足」にあるのです。ネガティブな状況が発生したときに困って電話してくるのです。
 ちなみに荻村の分析では「型式選択」が最も多い質問です。

 「受信件数を増やせ」=「不満足な状況をたくさん作り上げろ」

ということになりませんか?

 受信件数を増やすためには

 「カタログの表記を解りづらくする」

 これだけでもよいのです。

 これは明らかに「矛盾」です。本質を完全にハズした愚策です。
 企業における個々の目標というのは、こういうのが多いのです。設定する側も間抜けですが、それを何も考えず達成しようとするのも考えがありません。
 慧眼(けいがん)という言葉がありますが、ビジネスマンは本質を見抜く力を鍛えないと逆効果のことをよかれとするようになってしまいます。

 更に荻村は質問分析を進めます。
 何回か登場した福建省の大手代理店FF社から非常に簡単な質問が大量に入ってきておりました。この企業は社員が全国に2千人もおり、営業員はカタログも見ないでコンタクトセンターに片っ端から電話してくるのです。迷惑千万です。

 黙っていれば荻村の目標は簡単に達成できるのですが、こんなことで当社のオペレーター(京信のような技術系メーカーではこの敬称はNGです。技術員としなければいけません)を増員し教育していたら無駄なコストと時間を遣うだけです。
 また理系卒でせっかく教育したメンバーがやりがいを感じず離職の可能性もあります。

 荻村はアブー(阿部という名の中国販売トップ)に宣言します。
 「この目標は捨てますよ」
 「お、おまえさん、何を言うんだ。俺の目標にも入っているんだ!」
 「本部に『アホか』と言っておいてください。本末転倒にもほどがあります」

 荻村はその後、
 「FAQ集の作成」をマネージャーに命じ、それをwebに吊ったり、FF社で説明会を開いたりすることで、不要なコールを減らしていくのでした。

 企業が利益を上げるためにはこういうことが必要なのではないかと確信しています。 

 ちょっと長くなりましたので、次の事例は次回ご紹介いたします。

一会见!

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