銀行の店舗にいる不思議な両替屋
みなさん、こんにちは。はやぶさひろです。
前回偽札の件を紹介しました。今回は海外送金や両替屋のことを書いてみましょう。
主人公が京信深セン赴任当時、中国銀行からなかなか給与を引き出せなかったのは、USドルで振り込まれており人民元に両替していなかったからです。そこで「把一千美金换成人民币(千USドルを人民元に両替してください)」が一番最初に覚えた中国語文節だった逸話も紹介しました。ちなみに中国語を学んでいる方は「把構文」としてもこの文節を参考願います。補語(この場合「成」)を使って意図的に他の物へ変える表現の場合、元の物に「把」を付けて動詞の前に持ってきます。動詞の「換」と結果補語の「成」はセットなので切り離すことはできません。口語の場合「把ba3」がかなり強く長く聞こえます。
この頃、何故USドルで給与をもらっていたかというと、京信深センオフィスの親会社は京信香港法人でありUSドルを簡単に扱えるという事情もあったでしょうが、当時は人民元の信用が低く駐在員としても余分な人民元は持ちたくなかったのだと思われます。確かに日本で人民元を日本円に換えると交換レートはかなり低くなります。中国で交換して持ち帰った方がマシという感じでした。
しかし2000年代後半以降中国の経済は大発展し、駐在員への現地給は人民元払いが普通になってきたと思われます。普通に生活してれば余りますので一時帰国時に持ち帰りますが、少しでもロスを減らしたいのは人間の心情です。
2010年代後半筆者もまず銀行へ行きUSドルに交換して日本へ持ち帰ろうとしましたが、外貨流失規制が厳しくなっており「外国人は一日500元しか両替できない法律になった」と言われ、親切にも銀行窓口から次のアドバイスをもらいました。「中国人民ならその規制がゆるい(年間5万USドル)ので、中国人の友人や部下に依頼して、その人の権利内でUSドルへの両替をしてもらったらどうか?」 しかし中国の部下に借りを作るのも、いくら交換したかバラされるのも嫌なので断りました。すると次は「ここの口座から日本の銀行口座への送金を試してみるか?」との提案です。
送金するために「会社の営業許可書/社員であることの証明書/給与証明書/納税証明書/パスポート等々」大量の書類を持ってこい、というのです。人事総務に依頼して揃え再度銀行へ持って行ったところ色々チェックしています。「給与に比較し納税額が多すぎる。理屈が合わない」とのことです。「何を言っているのだ。中国と日本は租税条約を結んでいるので、中国の給与と日本の給与を併せて中国に税金を納めているのではないか!合わなくて当然だ!」と主張するも「そこまではよく分からない。これでは送金できない」と跳ねられました。
他の銀行や窓口担当ならどう対応したか分かりませんが、この理屈がまかり通ると中国と日本両方で給与をもらっている駐在員は自力では送金ができないということになります。制度上の矛盾はいかにも中国らしい。会社に依頼して(会社にお金を返す)ことで法人から送ってもらうとできるという情報もありますが、私的なことで会社のリソースを遣いたくない、という心理も働きました。
「しかたない、無駄な時間を遣ってしまった、諦めて帰るか」と外に出ると銀行入り口にたむろしている輩が「要不要美金、日弊」とぼそっと言っているではありませんか。「USドルや日本円はいらんかね?」という意味です。「何だ、両替屋だったのか?」とレートを聞いてみると本日の相場とあまり変わらない位の好条件。さっそく試しに2万人民元を銀行ATMから引き出して渡したら、その金を持って銀行に入って行き窓口に置いてある「偽札判別器」に2万元を突っ込んでチェックしているのです。行員達は見えていないかのように何も言いません。「なんだ、グルか」 銀行と競合する私的両替屋(もしかしたら不法行為かも)に銀行の設備を貸しアンダーザテーブルをもらっているのでしょうか?
組織の利益・秩序より自分の利益最優先なのです。拙著「第四章:酔爺之意不在酒」でしたためました。主人公が商談で深センの設計院に行きキーマンに「決定するための最大の要因は何ですか?」と聞き「経済的問題最重要」と即答が来ましたが、「経済」は中国のでも地域社会のでもなく「個人の」だったのですね。
ちなみに私的両替屋が法的に認可されているか筆者は知らないので、仮に不法だとしても善意の第三者ということでお願いします汗 著者が過ごした最後の方は銀行前にはいなくなっていたような気もします。
次回は「第六章:我不知道~責任転嫁の世界」で語りきれなかった究極の責任逃れ逸話をご紹介予定です。
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