日本語と中国語 発音の違い~対照言語学的解釈(学習者向け)
みなさん、こんにちは。はやぶさひろです。
前回、日本人駐在員や帯同家族がプチ引きこもり状態になる恐怖の言葉「听不懂」(听は聴、懂は「わかる/理解する」という意味)について紹介しました。
今回はその延長線上で日本語と中国語の発音上の違いを少し説明したいと思います。ご興味のない方は飛ばしてください。
性格によるのですが、しっかり勉強はしていないが街中や飲み屋で聴いて学んだ中国語でペラペラしゃべっている人も結構います。逆にしっかり勉強しないうちは使わないタイプもいます。主人公荻村は後者のタイプです。前者は出張者からはペラペラに見られるのですが、しっかり学習した人からすると実は酷い中国語で何を言っているか?分からないケースが多いのです。会社の同僚は「あんたの中国語は分からない(つまり听不懂)」とは言ってくれません。
多い誤りは音声学上の違いを理解しないで、日本語と同じ発音をしてしまうことです。対立する点が違うことを知り差を付けないとネイティブに聞き取ることはできません。例えば子音「b/p」の違いですが、日本語は「b」は「有声音」、「p」は「無声音」、ひらがなやカタカナで書くと濁音(ば/バ)と半濁音(ぱ/パ)ですが、音声学的には声帯振動があるか、ないかという違いです。
中国語の「b/p」の対立は全く違います。「b」は無気音(中国語では「不送気音」)、「p」は「有気音(中国語では「送気音」)」という違いとなります。例えば母音として「o」と付けたとしましょう。「bo」は息を吐かないでボーとした感じで「ぼー」、「po」は「ぽーっ!」と息を吐き出した後に「ぉ」の母音を付加するイメージです。息が吐かれたか吐かれてないで判断しているのです。
主人公の荻村はずっと単身赴任だったようですが、筆者は後半5年間位妻が帯同していました。1年だけですが大学の留学生コースで中国語の勉強もしました。一緒に日本へ一時帰国したとき、空姐(CAです)が「你要喝什么?」と聞いてきます。中国語らしくストレートな表現です。直訳すると「あなたは何が飲みたいか?」となります。(日本語で「あなたは何を飲みたいですか?」とCAに聞かれたら面食らいますが!) 妻は覚えたての中国語で「シュェイ」と答えました。「水ください」と言いたかったのです。すると逆にCAが面食らい「えっ!」と凍り付きました。何故でしょうか?
中国語の音声で非常に重要なものの一つに「四声(声調)」があります。同じ発音記号でも四声により意味が変わります。日本語は一つの音韻(正確に言うと日本語の場合は「拍」単位です)の中で変化する対立はありません。「箸」と「橋」のように拍毎に「高い/低い」で違いを聞き分けます。これをアクセントと言います。それらの違いは下の図をご参照ください。
出展 https://note.com/mt_ian_radio/n/na60eeeec888e
出展 はやぶさひろオリジナル資料
さて、CAに「シュェイ」と答え驚かれた件に戻りますが、妻の発音は声調が二声だったため中国人が聞くと疑問詞の「誰」と聞こえます。「お飲み物はいかがですか?」と聞いたのに「誰が?」と返答されたら驚くというものです。「水」は三声の「シュェイ」で日本人にはかなりハードルが高いイントネーションとなります。妻は「たいして変わらないんだから、状況察して「水」と気付け!」と怒ります。しかし中国語というのはそこで意味が対立する言語なので無茶な相談というものです。
飛行機の中での同様なシチュエーションで、日本人が「茶」と答えたのに「オレンジジュース」が出てくることもしばしば見かけました。中国語の「茶」は二声、つまり下から上に上がりながらの「チャーァ」で、日本語で「チャッ」と言うと「cheng」の一声で「橙」(オレンジの意味)の方が想像されるのだと思われます。
現在駐在中の読者の皆様、「听不懂」と言われたら自分の発音が間違っているので是正するようにしていきましょう!
次回から二回連続で「俺のミッション 中国ビジネス三都物語」の原稿から削除し迷宮入りとなった逸話をご紹介いたします。結構面白いエピソードだと思います。
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