引きこもりを誘発する恐怖の三文字「听不懂」
みなさん、こんにちは。はやぶさひろです。
前回はカルチャーショックやリエントリーショックについて紹介いたしました。今回は結構多くの日本人駐在員や帯同家族が出不精(プチ引きこもり状態)になることがありますが、それを誘発するある中国語の逸話をお話しします。恐怖です!
主人公荻村が香港から羅湖(ルォフー)駅に降り立ち隣接する深セン駅を探し出した話は拙著に簡単に書きましたが、実際はもっともっと苦労したのです。深セン駅は中国語だと「深圳站」と書きピンイン(発音記号)では「shen1zhen4zhan4」となり三文字とも巻き舌音なので初学者には到底発音できないのです。日本語にはない発声方法です。荻村は覚え立ての中国語で「深圳站在哪里?(深セン駅はどこですか?)」とすれ違う3名に尋ねてみたのですが、全員同じ反応です。「あーっ?听不懂你的话」と言い放ち迷惑そうに去って行きます。「听」は日本漢字の「聴」、「懂」は「理解する」という意味でカタカナだと「ティンブドン」か「ティンブトン」と聞こえます。
「听不懂」とは直訳すると「聴いた結果、理解できない」つまり「なにを言っているのか分からない」という意味となります。「你的话」は「あなたの言ってること」です。日本人が外国人から日本語らしき言葉で話しかけられた場合、「え、何と言われましたか?」と一生懸命聴こうとする人がほとんどだと思うのですが、彼らはその一言で迷惑そうに立ち去ります。ちなみに「あーっ」の「あ」には濁点が付いているようなドスの利いた響きがあります。
「ちょっと聞き取れないんですけど」と遠慮がちに返答されることの多い日本人にとって「あーっ、听不懂你的话」という直接的な否定表現は、かなり衝撃的で心にナイフを突き刺されたようなショックを受けます。「あんたの言ってる中国語はさっぱりわかんねんだよ!」と大いに罵られ見くびられた気持ちになります。ちょうど「ちびまるこ」がショックを受け「ガーン」と暗く固まっているような下の写真状態になります。
出展 https://omocoro.jp/kiji/109730/
駐在員や帯同の奥様も最初は「ハネムーン期」でうきうきと中国語を習い街で使おうとしますが、この「听不懂」に跳ね返されます。タクシーに乗って行き先を言ってもコレ、街で道を聞いてもコレ、デパートやスーパーで店員に何か尋ねてもコレ…… こんなことで心が疲弊していき外に出られなくなってくる、こういう時期を過ごす人達は結構います。
日本語なら「すみません、ちょっと聞き取れないんですが。ごめんなさいね汗」とこちらが悪いかのように遠慮がちに、中国語なら「お前の話は聞き取れない」とズバリと、何故このような差が出るのでしょうか?
私の分析ですが日本人は「ネガティブ・ポライトネス」を重要視します。相手にとってのネガティブ面(相手が嫌だと感じる点)を配慮・先取りして言葉を選びます。「すみません、ごめんなさい」とこちらの責任のようにしたり、「~なのです」と断定しないで「~ですが…」と言いさしをする。分かりきったことでも名言しない、という文化があります。優しさから来る婉曲文化ですね~。
中国語は言語的にはとてもはっきりした言い回しになります。「要不要?」、日本語に直訳して「いるかいらないか?」と言われると「そこまで言うか!」とちょっと気持ち悪いと思います。「いる?」とか「どう?」だけでいいですよね?好意の提供に対して「いりません」という断り言葉もあまり使いません。「せっかくですが…」という感じですか。中国語は「不要(いらない)」です。こう考えると言語としてもの凄くストレートなんですね~。今更ながら。
余談ですが、筆者が妻からのショートメッセージ「今晩ご飯いる?」に「不要」と返したら死ぬほど激怒されたこともありました汗泣
今お住まいの方、又はこれから赴任される方、「听不懂你的话」と言われたら「あんたの言ってることは分かんねんだよ」ではなく「すみません、ちょっと聞き取れないんですが」と解釈して心平穏にお過ごしされることをお勧めします。
今回中国語の特質について少し触れました。次回は中国語初学者か興味のある人向けに、対照言語学の観点から日本語との違いを書いてみましょう。ご興味ない人は飛ばしてください笑
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