異国でのプチノイローゼと多文化共生
みなさん、こんにちは。はやぶさひろです。
前回の投稿で主人公荻村は赴任当時プチノイローゼに陥っていたことを暴露しましたが、今回はその状況を詳しくお伝えしたいと思います。
荻村の京信深センへの赴任直後のことです。外国人が正規の就業許可を取りzビザから居留許可を取得するまで約2ヶ月かかりました。これはその時の政府対応の厳しさによりますが、現在でもその位かかると聞いています。この間、パスポートが手元にありませんので、帰国どころか出張も外泊もできません。中国では飛行機国内便も高速鉄道もホテル宿泊も全てパスポートの提示が必要です。友人宅に泊まる場合も厳密に言うと管轄の公安?にて仮居住許可を得なければなりません。
本部の上海で他の日本人駐在員と会うこともできず、深センで日本人一人の荻村は2ヶ月近く経つとプチノイローゼのような状態になっていました。出納係で日本語通訳を申し出てくれた張が「法人化するなら私を財務担当にさせてください!学校にも行って勉強します!」と頼もしいことを言ってくれるので荻村も「育てよう」と考えました。法人化されたときの財務諸表のシミュレーションを指導しながら作っておりましたが、張に減価償却費を理解させるのに丸2日かかりました汗 張は日本語の発音はきれいなのですが実は日常会話程度しかできず、専門的な日本語は聞き取れないのです。確かに会計音痴の日本人に有形固定資産や減価償却費のP/L、B/S、C/Fへの反映を理解させるのも難しいので、日本語中級の外国人に教えるのは至難の業と言えるかもしれません。この2日間で脳みそがかなり疲弊しもう少しでパニックになりそうだったようです。
会社からアパートへ戻るのが19時から20時、1時間から1時間半中国語の勉強をして21時頃アパートの建物に入った日本料理屋で定食をつまみに大量に酒を飲み、シャワーを浴びてまたウイスキー等を飲んで泥酔しないと眠れないのです。12時に寝てもアルコールの醒める夜中の2時か3時に目も覚め朝までうとうと状態が続きます。会社には行けるので鬱ではないのでしょうが、新しいことをしよう!という気力が沸かない、このように少し危ない状況でした。
そんな荻村のリラックス時間は毎週土曜日午後、一部の社員達と卓球をしてその後ビールを飲むことでしたが、いかんせん会話は中国語、しかもマネジメントの不公正について荻村に分からせようとしているので非常に難しく聞き取れない。中国語を大量にインプットする時間として大切でしたが、会話は心から楽しいと言えるものではありません。
赴任後2ヶ月を少し過ぎた頃、荻村のデスクの電話が鳴りました。日本人からでした。「深セン日本人商工会の新会員名簿を拝見してお電話しました。これから法人を設立されるようで当社は法律事務所なので何かお手伝いできることがあるかもしれません。会社の説明をいたしたく訪問させていただきたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?」 「すぐ来てください。そしてご馳走しますので今晩一緒に食事をしてください。OKなら契約します」と荻村は即答しました。法律事務所の方は森さんとしておきましょう。会社説明は上の空でほとんど聞いておらず、終業時間を待って自宅アパートの一階にある日本料理屋で酒を酌み交わしました。荻村は何を話したか覚えていないようですが、森氏とはずっとお付き合いしており、しばしば「最初にあったとき荻村さんはヘンでした」と言います。
それから時々彼に「今晩メシでもいかがですか?」とショートメッセージを入れます。当時はまだまだスマホはなく、今で言うガラケーです。2000年前半はNOKIAの携帯ばかりでした。日本語は書けませんので中国語で送るのですが、必ず「好、好、好」と好(いいですよ)の三連発で即レスが来ます。昼間日本人一人で悪戦苦闘していた荻村にとって癒やしの一時になっていたのは言うまでもありません。やはり孤独感は心をさいなむようです。苦しいときは人(母語話者)と話しましょう。
写真は当時森氏が身につけていた開閉式サングラスが付いたメガネの一例です。深センは亜熱帯地方で日差しも強いのです。日本料理屋の小姐(しゃおじえ:ウエートレス)はこれが面白いらしく「他那个人,老是这样子(あの人って、いつもこんな様子)」とメガネ開閉を模倣しておどけていました笑 結構みんなお茶目なんですよね。
日本人一人にて海外で法人を立ち上げるのは並大抵のことではありません。森氏を始め他の日本人駐在員仲間達も「一人でですか?京信も『人に優しい会社』と吹聴しながら、結構酷い会社ですね!」と驚いていました。
逆に考えますと日本で生活している外国人もまた言語やカルチャーショックに悩んでいる人達が多くいます。筆者は現在「自立支援日本語指導」と言い日本語母語話者でない小学生児童に学習言語能力を高めるためのお手伝いをしています。生活言語能力は非常に高くマスクをしているとまるで日本人のようなのですが、家に帰ると母国語になるのでネイティブ日本人とまではいきません。簡単に言いますと普通に日本語会話をしているように見えても、授業にはついていけない人が多くいる、ということです。また、地域社会の中にも困っている外国人の方もおられるでしょう。ゴミ分別ルールが分からない、日本語読めない、という人もいらっしゃるでしょう。多文化共生社会です。日本人得意なおもてなしのご配慮をお願いできればと考える次第です。
今日の話の延長線上で、カルチャーショックのことと日本人の駐在員やその帯同妻達の多くが引きこもりになるきっかけを次回お伝えしましょう!再見!

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