紹興営業員「何」の告白書

  「俺のミッション 第二章『姑息養姦』~証拠固め」で「何(カ)」という紹興営業員が登場します。紹興とは紹興酒で有名な浙江省の都市です。

 ちなみに紹興酒というのは一つのブランド名で、あの種の酒は総称して「黄酒」又は「老酒」と言われています。原料は一般的に「餅米」です。

 何(カ)が徐から脅されている、という告白書を書いてくれたことで荻村の徐排除決行の気持ちが益々強くなった訳ですが、今回何(カ)が書いてくれた告白分を特別お見せしましょう。登場人物の場合「何(カ)」とルビを振ります。何(カ)という姓を使わなければよかったと筆者は少し後悔しています汗


 達筆すぎて?読めない漢字が何個かありますが概略で訳してみます。タイトルは「状況説明」と書かれています。

 「徐は私と約束し**(地域名の漢字が読めない)で会った。徐は私に『今回のことは他人へ知らせるな』と言った。徐は次のような要求をしてきた。『以後、紹興地区での客先状況は徐へ単独かつ直接報告しろ。(上司である)俞(ユウ)には言うな。これは私(何(カ)のこと)と組んで俞をやっつけることが目的だ』

 俞は何(カ)の上司である杭州営業所長です。

 徐は更に何(カ)に「俺の誘いを断ったら次の労働契約更新時に解雇する」と脅していたことは拙著に書いています。それでも何(カ)がここまで協力してくれたのは、荻村が徐を排除してくれるという期待感の他、何(カ)の徐に対する嫌悪感が非常に強かったことが考えられます。「差し違える」だけの覚悟がないとここまで協力してくれません。

 その際、荻村は「徐の目的は紹興地区の商談情報を先に入手、何らかの方法で横取りしアンダー・ザ・テーブルをもらおうとしている」と確信しています。何らかの方法とは「手下である胡や史の支配する会社経由で」という手口だったことは後から分かることです。

 この確信は間違ってはいませんでしたが、実はその時気づいていないことがありました。

 「第五章:答非所問~ブルータス、お前もか!」に書いた内容となります。実は俞も一部の杭州代理店と結託し自身と関係の深い上海の某商社経由で顧客を奪っていたのです。

 徐からすると何(カ)を自分の仲間に取り込んで俞を蚊帳の外にすれば、不当に横取りできるエリアが増え私服が益々肥える、ということになります。

 まとめると下記のような勢力図になります。

 ダミー代理店(営業担当)  → 次代の営業が関係する横取り用商社

  嘉興代理店(胡)     →  胡商店

  無錫代理店(史)     →  史商会

  杭州某代理店(俞の部下) →  俞の知り合いの上海商社

 首謀者ですが上記二社が徐、下の一社が俞となります。

 おさらいですが、エリア内の正規代理店が発掘してきた次代コーポレション製品の商談を次代の社員が横取りし私服を肥やす、というえげつない構造なのです。善良な読者の皆さんには思いも寄らないことかもしれませんが、中国というのは歴史的にもこのような文化が根付いています。特に老板(トップ)が外国人の場合、狙われます。

 ローカル企業はトップが中国人で全てお見通しなのでなかなかできないと思われます。が、今流行りの「現地化」で日系企業の中国法人トップをローカル化した場合、そのトップがブラックであればボロボロにされます。慎重に行きましょう。

 チャートや図にまとめてしまうと簡単なのですが、確かに前任岡田のいうように「我々は警察でない」ので荻村に強制捜査権はありません。SNSや電話の記録や防犯カメラを閲覧することもダミー代理店や胡商店・史商会の帳簿を押収することもできません。一蓮托生である外部の仲間達は徐や俞に金を渡していることなど絶対にしゃべりません。膨大な情報の中から僅かなヒントをつなげていく、寝ている間も夢の中で考えている、この作業の繰り返しで突然閃く、というのが実情でした。

 一連の事件を本社監査室メンバーに説明した際、「辣腕刑事のようですね~汗汗汗汗」と一目置くを通り過ぎて「サラリーマンなのにそこまでやるか!」と呆れられた雰囲気もあったようです……。


 次回は上海周辺ダミー代理店事件のまとめとして、「嘉興代理店と無錫代理店からの報復」について掲載したいと思います。

下次見!

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