係争するべきなのか?+採用や社会保険の話

  前回、胡との係争(労働裁判)をお伝えしました。

 人事から「労働仲裁から『また貴社の社員が駆け込んできましたよ』と言われます。係争が多いと応募者が減るので…」と進言されましたが、荻村には信念がありました。「隙あらば不正を働き私服を肥やそうとしている応募者から敬遠されるだけで逆にありがたい」と突っぱねました。また取引先である日系企業の多くから「次代コーポのように不正にとことん対応する企業の製品を使いたい」とも言われ自信を深めていました。

 ただし提訴するには多くの時間や弁護士費用を使います。これで敗訴したら踏んだり蹴ったりとも言えるでしょう。ですので拙著にも書きましたが、中国のエクセレントカンパニーは不要人材を経済補償金最大額を支払って解雇します。最大額をもらっていますので解雇者は労働仲裁や裁判所に提訴し勝訴してもそれ以上もらうことはできません。もっとも解雇取り消し判決を求めることはできるかもしれませんが、アリババのジャック・マーやテンセントのポニー・マーを敵に回すような労働者は皆無でしょう。エクセレントカンパニーの有名人はさておいて、中国は法治国家でなく人治国家と言われています。裏から手を回され自身や家族が理不尽な扱いをされる可能性は否定できません。「(自分の)経済的問題最重要」が価値観の人が多いのは事実だと思います。

 荻村が係争を中途半端にしなかったのは、他の社員に対する牽制の意味もありました。ここまで執拗にやられたら「不正を働きばれたら辞めればいい」という考えを抑制できます。


 さて、京信深セン販社総経理や次代コーポ中国販社総経理を通じ一体何百人採用したことでしょうか?面接は一千人以上でしょう。「何故今の会社を辞めてうちに入りたいのか?」質問します。ローカル企業に勤めている人は「中国企業は社会保険など法に基づいて払ってくれない。日系企業はその点しっかりしていると認識しているからだ」と多くの人が答えます。「労働法違反なので訴えればいいじゃないか!?」と読者は思うかもしれませんが、恐らく前段落で述べた理不尽な報復が恐くて何もできないのかと想像します。

 話は飛躍しますが、採用面接の時「給与はいくらか?」とズバリ聞いてきます。答えると「それは支給額か?手取りか?」とまたしても聞いてきます。「手取りは社会保険料を引いた後の金額か?」などと聞かれても赴任直後の荻村には分かりませんでした。

 中国の社会保険は俗に「五金」と呼ばれていました。「養老保険」「医療保険」「失業保険」「生育保険」「工傷(労災)保険」です。それぞれ会社と個人の負担率が定められており、法定通りだと会社負担の方が三倍くらいになるような記憶があります。

 次代コーポ中国販社としては法定通りに支払っているつもりでしたが、あるとき点検するととんでもないことが分かりました。次代中国販社はエバー社を吸収合併することで開始しましたが、社会保険料率は「支給額」に対してと決まっているのに係わらず、「所得税控除後」でしか支払っていなかったのです。エバー社からの引継ぎのまま計算していたそうです。社会保険当局に明細を提出していると思うのですが、気づかないのでしょうか?

 「過去に遡って支払うのか?」と汗が噴き出しましたが、社会保険当局では受入れることはできない、と拒絶されます。自分のポケットに入るわけではないので面倒くさいのかもしれません汗。罰金もありません。したがって法的には払う必要はない、という結論です。荻村は勤務年数に応じて一部補償金を支払うことを決めます。「それでは少ない!」と叫ぶ社員が現れるのは必至なのですが、「法的に支払う義務がないので、嫌なら払わない」と言えば「その額で結構です」と絶対納得するのです。この交渉ストラテジーは重要です。

 年度個人評価も「低すぎる!」と噛みついてくる社員も多くいます。その点のあしらいも徐の例で後日説明いたします。


コメント

このブログの人気の投稿

海南島旅行with来期計画

中国語の試験についてⅡ~HKS(漢語水平考試)

five forces 競争戦略など